こどもの便秘
便秘とは、便が長期間出ない、出にくいことをいいます。便秘になると排便時に苦痛を伴うようになり、子どもは恐怖で排便を我慢してしまい、ますます悪化します。慢性化している場合は薬物治療でコントロールしながら生活習慣の見直しを行い、この悪循環を断ち切ることが大切です。
● 子どもの便秘の特徴
子どもの便秘の原因は大人とは異なり、特に乳幼児期はうんちを出す力が弱いことによるものがほとんどです。特に便秘になりやすいきっかけは以下の3つがあげられます。
- 乳児期の母乳→ミルクへの移行時期、離乳食開始時期
- 幼児期のトイレトレーニング
- 学童期の通学開始や、学校での排便ガマン体験
何らかの原因で便が出ない状態が長く続くと、便が硬くなり、排便しようとしてもなかなか出ません。それによりつらい症状(腹痛、吐き気、食欲低下など)が出て日常生活に支障が出ると治療の対象になります。時に肛門が切れ出血する、スキンタッグや見張りイボ(肛門の皮膚のしわが膨れる)ができるなどのトラブルも起こります。
● 治療
薬物療法では大きく2つに分けられます。
便を柔らかくする:酸化マグネシウム、モニラック等
腸の動きを良くする:浣腸、ラキソベロン、テレミンソフト等
肛門が切れて痛がる時・・・人肌くらいのぬるま湯で湿らせた柔らかい布で押さえるとじきに血は止まります。繰り返すときは小児科を受診してください。必要に応じ、軟膏が処方されます。
● 便秘の時の工夫
生後半年くらいまでの赤ちゃんは、便をうまく出せないために便秘になることがあります。おなかに力が入り、腸の運動が盛んになり、さらに肛門やその近くが緩むことが一緒にできないと、スムーズには便は出ません。下記の方法で、この複雑な動きを助けてあげましょう。
- おなかのマッサージ(時計回りにゆっくりさする)
- 肛門の刺激(綿棒にワセリン等を塗り、肛門から1~2㎝入れてコチョコチョ)
● 食事の内容の工夫
うんちが硬い時には飲むもの・食べるものを工夫しましょう。
うんちがスムーズに出やすくなるような食事には次のものがあります。
- 繊維の多いもの:さつまいも、豆類、きのこ類、など
- 腸内発酵を起こすもの:さつまいも、乳製品など
- 水分の多いもの:寒天で作ったゼリー、スープなど
- 油分:バター、マーガリン、オリーブオイルなど
● 生活習慣で気をつけること
- 体をたっぷり動かすことも大切です。自由に身動きできるように、身軽な服装で、外に出かけて外気浴やお散歩もしましょう。
- トイレトレーニング:失敗しても叱らず忍耐強く見守る、トイレを楽しい場所にするなどプラスイメージを持たせる工夫をしましょう。
- 幼児期以降は朝起きたらコップ1杯の水を飲み、必ず朝食を。腸が目覚めて動き始めます。
- 学童では登校前にトイレへ行く十分な時間の確保が望まれます。