RSウイルス感染症
RSウイルスは秋から冬にかけて流行するウイルスで、乳幼児では細気管支炎の原因にもなります。一方、2歳までに全員がかかるというほど普遍的なウイルスですし、年長児や成人ではただの鼻風邪で終わることも多く、感染予防が難しいのも特徴です。
●RSウイルス感染症とは
RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。すべての年齢層で起こり、何度も感染と発病を繰り返します。咳やくしゃみに含まれるウイルスを直接吸い込むことによる飛沫感染や、手指を介した接触感染によってうつります。
●症状・診断
潜伏期・・・2~8日(通常4~6日)
症状・・・発熱、咳嗽、鼻汁等の風邪の症状から呼吸困難、喘鳴などの重い症状まで様々です。中耳炎を合併することもあります。
初めて感染発症した場合は重症化しやすく、特に乳児期に感染した場合は、細気管支炎や肺炎などの重篤な症状を引き起こすことがあります
。
そのため、乳児期のお子さんが身近にいらっしゃる場合には、特に感染を避けるための注意が必要です。
確定診断としては、鼻汁からウイルス抗原を検出する迅速診断法があります。
必須な検査ではありませんが、当院でも必要に応じて行っています。
●治療
RSウイルスに対する特効薬はありませんので、症状を抑える対症療法が主となります。必要に応じて鼻汁の吸引や気管支拡張剤の吸入を行い、水分補給、栄養、保温に気をつけ経過を見る事になります。
肺炎や細気管支炎など、重症化した場合は入院し、点滴や酸素療法、抗生物質の投与等により治療を行います。
●予防
RSウイルスに対してはお母さんのおなかの中にいるときにもらった免疫では感染を防ぐことはできず、新生児期から発病する可能性があります。
そのため、以下の感染予防対策が重要となります。
- 流行期には、人ごみを避けるなどの注意をしましょう。
- 乳児の周りに風邪のような症状の人がいる時は、接触を避け、手洗いやアルコール手指消毒、マスクの着用をするなどの予防をしましょう。
まわりの人が感染源にならないように注意する必要があります。 - おもちゃ、机、椅子等、乳児の身の回りのものはこまめにアルコール消毒するようにしましょう。
●こんな時は再度受診を!
かぜと診断されたあと、哺乳が悪い、熱が高い、咳がひどい、機嫌が悪い、苦しそうな呼吸をしているなど、心配な症状があるときは再度受診しましょう。
家庭では、水分(母乳、ミルク)をこまめに飲ませてあげましょう。部屋の加湿をしたり、楽な体位などの工夫してあげましょう。